検査結果 驚きの数値
初の専門外来受診は9時の予約であったが、さまざまな検査を受け、結果が出て再び診察室に呼ばれたのは13時半頃であった。
先生から、「意外でしたが・・・」と前置きをされて伝えられた私のCD4は 71 。
百の位を聞き漏らしたと思い、思わず数字を除き込んでしまったが そこにはたしかに71とだけ書かれていた。
200をきるとエイズ発症のリスクが高まると聞いていた。感覚的にはそれより遥かに下回っている。
この時、初めて恐怖と不安で頭が真っ白になりそうであった。先生に何を聞いたら良いのか、なんとか頭を動かそうとしていたと思う。
先生からは、「CD4が一桁の人で、エイズを発症していない人もいます。見た感じ、あなたも発症はしていないと思います。とはいえ、なるべく早く治療を始めたいところですが。。。」
と言って、ざっと自立支援制度が適用されるまでの流れを説明された。
制度適用を待つなら、治療開始は早くて4月下旬か、5月の連休明けになることもありうる。
最初は自己負担(3割全額負担)で服薬を開始することもできるが、制度適用の申請のためには4週間後のCD4の値が必要となるため、4週後までは服薬開始もできない(しても良いが、それにより制度適用が一生認められない可能性が高い)
先生は努めて冷静にあっけらかんと伝えてくれていたと思うが、自分の体が刻一刻と蝕まれていっているイメージに恐怖が止まらなかった。体内で増殖し続けているであろうウィルスを1秒でも早く止めたいという気持ちで聞いていた。
ひとまず次回はピッタリ4週間後 同じ先生の診察を予約して診察室を後にした。別の小部屋で看護師さんから追加で今後の通院などについて説明を聞いた。
看護師さんもCD4の低さにショックを受けている僕を慮り、説明用の冊子とともに、これから4週間の注意事項を説明してくれた。
食べ物には気をつけること。生魚、生野菜、フルーツは慎重に。
よく食べよく寝て疲れを溜めないこと。
コロナ対策同様に風邪などを普通に予防して!
ということだったと思う。
困ったことがあったら、また不安なことがあったらここに電話して と、そんな説明をしてくれた。ここで少し落ち着きを取り戻したと思う。
帰ろうと思ったところでふと、梅毒治療について触れられていないことに気がつき、看護師さんに尋ねると、「確かに!」ということで再び診察室に行った。
梅毒治療はHIVとは関係なく治療を開始できる。ドラマの仁で見ていた通り、まずはペニシリンを投与するようである。
日本では服薬が一般的であったが、外国では行われている筋肉注射も最近行えるようになったという。
しかし、過去にペニシリンを投与されたことがないことを鑑みて、ひとまず30日間の飲み薬を選択した。
朝昼晩の食後にアモキシシリンカプセル2錠の服薬である。面倒だが飲みきろう。
院外処方であったが、今後通い続けるであろう至近の指定の薬局で薬を受け取り帰路についた。
病院への支払いは15000円ちょっと、薬局では2000円ほどの支払いであった。
心配してくれていたレンさんには結果をLINEで伝えたものの、ハルトにはどう説明しようかと悩みながら帰った。
帰り道に何となくハルトへのお土産の少し高級なチョコを買った。バレンタインは過ぎたのだけど。