30代でゲイでHIVで

まずは自分の記録のため、いつかは人の役にたてると良いなと思います。

HIV陽性の友人 国を超えた支え合い

ペニシリンアレルギーによる皮疹は1週間ほどで落ち着いた。その後体調の変化はない。

CD4の下がったHIV陽性者であるということを忘れてしまいそうな日々を過ごした。仕事が忙しかったということもあるし、ハルトと仲良く過ごしているということもある。

 

さて、以前に少しだけ触れた 僕がHIV陽性との告知を保健所で伝えられたときにすんなりと受け入れられたことの大きな理由として、以前にある友人からエイズであることのカミングアウトをされたことがあり、さらに現在の治療のことや、U=Uについてのことなどもその友人から聞いていたことがある。

今回もその友人には真っ先に自分のことを伝えた。

 

彼は外国に住む外国人である。名前はリー君。

ゲイで僕と同じ歳。

知り合ったのはもう10年以上前。

仕事でその国に頻繁に行っていた時期があり、多い時は月に2回会っていた。

仕事で行かなくなってからも、旅行の経由地としてなどコロナ前までは毎年2〜3回は会っていた。家にも何度も泊めてもらったり、彼の彼氏や友人とも仲良くさせてもらっていた。

 

その国では仕事でもプライベートでも何度も助けてもらった。

彼の国のいろいろな場所を一緒に旅したり、日本でも何回か会った。沖縄で合流して一緒に旅行をしたり、実家に招いたりもしたことがある。

 

そんなリー君と最後に会ったのはちょうど3年前2019年のこの時期だった。彼の国に遊びに行っていて、一緒にご飯を食べたが、とにかくその日リー君は体調が悪く。胃腸の調子が良くないと言っていた。

でも日本から来た僕に合わせて何とか付き合ってくれていたと思うけど、さすがに早々に解散になった。また元気になったらあたらめて会おうと言い合って。

 

それから1ヶ月後、リー君からLINEが届いた。

「入院した。肺炎で。」と。

僕はてっきり胃腸の調子が悪いと言っていたから、「胃腸ではないんだ?」と返した。

しかも、彼は実家のある街に帰っているのだという。

「10日間ずっと病院。重症だ。」ともいう。

肺炎というのはそもそも重症なので普通に心配だなと思ったが、ここで僕はあまり考えもせずに

「抵抗力が下がってて、胃腸が悪くなったり、肺炎になったりしてたのかなー?」

と返したら、想定外の返事がきた。

「yes, HIVにかかった」と・・・。

 

そんなことを想定して返事をしたわけではなかったので、思いがけずカミングアウトをさせてしまうことになってしまった。

そこから色々な話を聞いた。つまり彼はHIVに感染していてすでにエイズを発症していた。それによって胃腸が悪く、疲れやすく、肺炎まで起こしていたということなのだそう。

 

心当たりがないわけではないけど、怖くて検査はしてこなかったのだという。

「ショックでしょ?」と言われた。

正直 ショックというか 身近に存在するなんてことを考えもしなかったので どう受け止めて良いのかも分からなかった。

ただ言えることは、リー君に二度と会えなくなってしまうんじゃないか?とそんなことが真っ先に頭に浮かんだ。

 

しかし、そこで彼から治療ができることなどを色々聞いた。

いま自分が同じ立場になったから分かるけど、そうやって人に説明することで、自分自身が理解というか納得して理解していっていたのかなと思う。

そして、その時リー君に支えてくれる人はいる?と聞いたら。

家族も恋人も支えてくれている。と。

 

そしてリー君の彼氏も元彼も知っているが みんなひとまず陰性だったとも言っていた。

今思えば、「だから感染はしにくいんだな」 と逆に安心してしまったのかもしれない。

 

で、それから何度かリー君は「日本に気晴らしに行きたい」とうちに来る計画を一緒にしていたけど、体調が戻らず延期を繰り返しているうちに コロナ禍になってしまった。

 

とはいえ時々近況報告をしあっていて、2020年の夏には もう元気に普通に暮らしていると言っていた。やはり肺炎が長引いたのは大変だったようだ。

 

そして月日が過ぎて今年、僕が彼にHIV陽性を伝えた。

彼は色々情報をくれたし、励ましてくれる。

日本よりも治療や制度は進んでいるようだ。

 

ちなみにリー君の感染が分かった当初のCD4は15だったそうだ。

だから僕が71と言ったら とても心配していた。

 

ただ彼は

15→35→100→150→250→350→450→600

といった具合にCD4が回復したとも教えてくれた。

飲んでいる薬がトリーメク(Triumeq)だとも、写真付きで教えてくれたり、

薬の副作用に悩まされた時期があったとも。。。

 

でもリー君の存在は今回の僕にはすごく大きかった。

 

国を超えて、仲良くすることも、支え合うこともできる。

と僕は思う。