恋人への初回CD4値の報告
衝撃的なCD4値を知ったが
何となくハルトにはLINEなどで全く結果について触れずにいた
もともとその日の夕方に会う約束をしていたので 迎えにいった車の中で
CD4という値の意味を再度説明して
自分が71だったことを伝えた。
僕と同様 ハルトもすごくビックリしていた。
さすがに2人とも楽観的ではいられないという状況にはじめてなったような気がする。
その日、これからの過ごし方などを話し合った。
そして治療についても、自立支援制度適用を待たずに 自己負担が大きくても治療を開始するべきだとハルトから言われた。たしかに 今の自分の危険な状態からエイズ発症させずに脱することが最善策であるのは間違いない。
後日 近所のお姉様 京子さんにも同様の意見を言われた。
たしかに、イタい金額ではあるが払えない額ではない。そして1-2ヶ月程度のことなのならそうしようと思う。
一方で ここからの4週間は何もできない。
梅毒治療の薬は飲みながら とにかく体調を維持することである。
これまで コロナに対しても 僕は楽観的にとらえていたけれど、基礎疾患を持った人がコロナ感染を恐れるという気持ちが今はすごく分かる。
ひとまず 大好きだった魚の刺身などはしばらくやめておこうと思う。
それ以降 ハルトも僕以上に食事に気を使ってくれる。さりげない優しさに触れるたびに 涙が出そうになることが何度かある。
ある時ハルトが梅毒の薬を飲む僕を見て
「ワンチャンその薬が効いて HIVも減って 次病院行ったらCD4上がってたりせんかなー」
と口にしたことがある。
絶対ないことだと分かっているけど 全く同じことを僕も思ったことがあったので 思わず笑ってしまった。
笑うと免疫が上がるらしいので、このやりとりによって CD4は少し上がったに違いない。