30代でゲイでHIVで

まずは自分の記録のため、いつかは人の役にたてると良いなと思います。

恋人への告知に向けて

保健所でのHIV検査結果を聞いた翌日の夜は、もともとハルトと会う約束をしていた。

その翌日は仕事を休みにしていたので、私の家に泊まって過ごす予定であった。

本来ならとても楽しく待ち遠しい夜になっていたことだろう。

 

しかし私はハルトに最悪の告知をしなければいけない。

 

・自分は少なくとも1週間前の検体採取の日には、HIVと梅毒に感染していたということ。

・つまり出会ってから僕とセックスをした回数だけハルトにも感染している可能性があるということ。

・最後にセックスをした日から3ヵ月後に検査をした結果で陰性が確認できるまでは、ハルトのHIV感染の有無はハッキリしないこと。

・ひとまず現時点でハルトの感染の有無を検査を受けて確認し、その結果が陰性であっても3ヵ月後に再度検査を受けてほしいこと。

 

ハルトがそれを聞いてどう思うか・・・全くイメージができなかったけれど、

何を言われても、何をされても、ひたすら受け入れる、できるだけのことをする という覚悟を決めて会うことにした。 とても怖かったけれど・・・。

 

ハルトに会うのは仕事が終わった後なので、ひとまず夕食を一緒に食べた。
保健所で告知を受けてから、自分自身の食欲は全く無かったけれど、悟られないように、少しずつ口に含もうと必死だったことは覚えているが、この時どんな会話をしたのかは全く覚えていない。とにかくどう切り出そうか、それとも言わずに逃げてしまおうか、そんなことまで頭によぎりながら、ハルトはいつもと変わらずケラケラ笑って楽しそうに食事をしている姿に胸が締め付けられそうな気持ちでいた。

 

僕の家には普段は使っていない部屋がある。家族が来た時に使うような仕様になっているため、僕の家に来た友人たちがその空間に行くことは基本的にない。もちろんハルトも入ったことがない部屋である。
何となく、二人のいい思い出ばかりのいつも使っている部屋で最悪の告知をしたくないと思ったので、その部屋で告知しようと思い、さりげなくその部屋の暖房をつけておいた。

 

食後、落ち着いたところで、ハルトに「話があるけど、あの部屋に行ってみないか?」と誘った。きっとハルトも何か感じ取ったに違いない。何も聞かずに着いてきてくれた。

自分の心拍数が上がるがよく分かった。