30代でゲイでHIVで

まずは自分の記録のため、いつかは人の役にたてると良いなと思います。

恋人にHIV陽性を告知する

部屋にはソファがあり、ハルトには横に座ってもらった。とても顔を見て話せる気がしなかった。

 

「先週、保健所で無料検査を受けた話はしたよね?昨日結果を聞きに行ったんだけど、陽性だった。ゴメン。」

 

それを聞いたハルトは

「マジか・・・。辛かったよなぁ。」と、手を握ってくれた。

 

予想外の反応だった。自分が陽性だと分かってから自分の体や将来のことよりハルトに感染していないかということばかりが気がかりだったけど、ハルトは真っ先に僕のことを心配してくれた

「たしかに辛い・・・」と口に出してみたものの この時はもうハルトに握られた手が心強かった。これからもハルトのことを第一に考えようと心に誓った瞬間だったと思う。

 

そこで、もう少し詳しくどんな説明を受けたかとか、どんな病気なのかとか、ハルトにはどうしてほしいのか とか そんな話をとうとうとした。

その時ふとハルトの顔を見ると、両目から涙がとめどなく出ていた。後にも先にもハルトの涙を見たのはこの時だけだった。

ハルトには、「僕のことを嫌っても良いし、怖がっても良いし、距離をとってもいい、でも、ハルトの無事を確認するまでは連絡が取れるようにしてほしい。」

とお願いをした。

それに対して、ハルトは「嫌いにはならないよ。どんな形であっても、これから先 一生関係は続くからね!」と強く抱きしめてくれた。

強くなろう そして明るい未来の話をしよう と決意した。

 

場所をいつもの僕の部屋に移し、色んな将来の話をした。

ハルトはこれからは出来るだけそばにいてほしいと言うので、そうすることにした。

翌週に一緒にハルトも保健所で検査を受けることにした。そこにも付き添うことにした。

 

なかなか眠れない夜だったけど、最後は楽しい話をいろいろしたような気がする。

ハルトに出会ったから検査を受けたし僕の感染が分かったことは間違いない。

そしてただ孤独に辛かったであろう夜がハルトによって救われている。

やはり僕はとてもラッキーだ。宝物を大切にしよう。