弟への告知
自分がHIV陽性であると発覚してから約2か月。
幸いにも理解のある恋人がいたこと、また同じくHIV当事者であるゲイの友人2名に打ち明けることができたことで、一人思いつめるということもなく過ごすことができた。
しかし、この先やはり家族の誰かが知っていてくれると何かしら頼りになることもあろうかと思った。
近く、転職による転居を予定しており、役所関係の公的手続き等で代理を頼むことがあるかもしれない。やはり親族の理解者はいるに越したことはないと思い、3歳年下の弟に話をすることにした。
弟は妻帯者で子供もいるため、なかなか一人になる時間もないだろうが、時間を作ってくれた。
転職についても話をしていなかったので、その報告をしつつ、HIVの話をした。実に理性的に冷静に話を聞いてくれて、それがどういった特徴の病気なのか、最新の治療法は何なのかそういったことにしっかりと耳を傾けてくれた。
弟からも治療を最優先にすることは勧められた。そして、手続き等で力になれることがあればと 協力を申し出てくれた。もちろん、両親に伝えずにいることへの理解も示してくれた。
結局、彼にも秘密を負わせてしまうことになってしまったが、またひとつ心強い仲間が増えた気がする。
なお彼にはずいぶんと昔にゲイであることを何となくカミングアウトしたことがある。
そのことはきちんと覚えていたようで、
「今、パートナーはいるの?」
と聞かれた。パートナーだなんて、普通のノンケ男子は使わない。そのような配慮のある聞かれ方をしたことに驚きと感動をした。
僕は本当に人に恵まれていると改めて思った。