30代でゲイでHIVで

まずは自分の記録のため、いつかは人の役にたてると良いなと思います。

カミングアウトから予想外の展開へ

HIV検査陽性告知を受けた保健所からの帰り道、

近所に住む友人カップル(レンさんとサトルさん)の家に突然お邪魔をした。

このレンさんとサトルさんは私よりも年上で、これまでもとても優しく仲良くしていただいており、二人にはさまざまな面で大変お世話になっている。

 

HIV陽性だったことを打ち明けるのは、はじめてゲイであることをノンケの女友達にカミングアウトした大学生2年生の時のような気持ちだった。意を決して、

「今まで保健所にいたんですけど、HIVと梅毒が陽性でした。」

と切り出すと。

「あらら。」と一言。そこでサトルさんは席を立ち、家事をし始めた。

 

残ったレンさんから続きを促され、検査の経緯や保健所で伝えられたことなどをザっと話をした。

 

「なるほど、保健所で紹介されたその病院じゃなくて、HIVを専門にしている拠点病院が少し遠いけど行けるところにあるから、そこにかかれないか、保健師に相談してみたら?」

という。あの保健師がそんなことを聞いてくれるのかな?とその時はちょっと面倒なアドバイスだなぁとすら思っていたのだが、そこで・・・

 

「とまぁ、なぜそんなことを言うかというと・・・」とレンさんが言うので。

 

「もしかして、レンさんも? ということですか?」と聞き返し、そうだということが分かった。
全く予想していなかった展開だったけど、そこからはもう猛烈に質問をしまくり、レンさんも色んなことを話をしてくれた。

もちろんレンさんのことはサトルさんもちゃんと知っていて、

しばらくしてサトルさんが「死ぬわけじゃないんでしょう?」とニコニコしながら戻ってきた。

 

そしてサトルさんが「ごはん食べてないよね?食べてかない?」と用意してくれた。ひと口、ふた口食べようとしてみたけど、胸が苦しくてうまく飲み込めない。

食事が喉を通らないとはこういうことを言うのか・・・

食べられないことを詫びつつ、話を聞いてくれて、またカミングアウトまでしてくれたことに深く感謝し、失礼することにした。

しなければいけないこと、考えなければいけないことが山ほどあると思い始めたのである。

聞いてもらえるだけでもありがたい話なのに、いきなり当事者の知り合いに巡り合えた。自分はとてもラッキーなのかもしれないと少し、いや大きく気持ちが上向いたのもある。

 

動き始めなければ。 と家路を急いだ。